【コラム】火を使わない山ごはん
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【コラム】El Chalten初のソロサイズ 開発背景


■開発スタートまで
El Chaltenシリーズはフライとインナー、フットプリントが一体となった本体を3本のポールで吊り下げるユニークな構造で、バックパッカーのストレスをいかに「ゼロ」に近づけるかを具現化したブランドを象徴するテントです。2014年のファーストモデルから、抜群の設営しやすさ、長辺側の前後どちらも出入口&前室となる使い勝手、悪天候時の安定性など、軽量性とのバランスを追求しながら様々なカラーとスタイルがリリースされてきました。

1人用を求める声は、初めて登場した2014年より(当時は2pのみ)いただいてきました。実際、1pについて何度か議論しましたが、長辺短辺のバランスが崩れる点、価格が割高になってしまう点、別の1人用Wウオールテント「Thru Hiker1p ZB」との位置づけなどの理由から開発まで至っていません。日本デビュー10周年ギア「El Chalten1p ZEROBONE」は“日本の山岳シーンで使いたいEl Chalten”をテーマに、これまで出てきた懸念点も払拭する仕様です。


■ハイカーが使いやすい
「El Chalten 1p ZEROBONE」のファーストサンプルです。最小重量は1.5㎏近くありました。

ファーストサンプルは最小重量1429g

ここからどんな機能を追加し、何を残すのかを何度も議論してきました。その中にはポール形状を変える案、フライボトムを大きく削る案、生地を変える案、出入口を片側のみにする案などEl Chaltenらしさを議論する内容も出ました。特に出入口の数は悩みましたが、風向きに合わせ出入口を両方使え、稜線でも両側をオープンできる開放感はEl Chaltenらしさと結論付けました。
途中で作成した出入口が片側のサンプル

方向性に迷った時に指針にしたのはZEROGRAM創設時の原点「自然を深く感じながら歩いていくハイカーの、ストレスを極限までゼロにしたい」という考え方※です。結果、とてもEl Chaltenらしい開放感抜群、稜線や悪天候でもストレスフリーに過ごせ、結露も楽しくなる軽量Wウオールテントとして着地してます。

※創設時の哲学(抜粋)
“ZEROGRAMは、アウトドア愛好家たちの「軽量で革新的な装備を実現させたい」という強い意志からスタートしました。軽さを追求しながらも、丈夫で安全なアウトドア装備の開発こそ、メーカーである私たちの最も積極的なエコ活動だと考えます。 バックパックが軽ければ、心身も軽くなり、心身が軽くなればより深く広く自然を楽しめます。人が自然の中に入る時の存在と影響を最小限にできます。
ZEROGRAMは、極地探検家たちからアルピニズムを志向する登山家、奥地を探して旅立ちするトレッカー、 森の香りを楽しむバックパッカーたちの格別なパートナーであり続けたいと考えます。”


■日本の山岳シーンで使いやすい
日本限定ギアとして、日本の山岳シーンでの使いやすさも追及しました。例えば以下のような点です。

・悪天候への強さ
元々悪天候に強い仕様ですが、1pではインナーテントのバスタブは縫い目を作らず一枚仕様にしました(バスタブ形状で難しいとされる4隅のシームテープ処理もされています)。フライ・インナーとも出入口には耐水性が高いジップ(止水ジップではありません)を使用。フライのボトムは地表近くまで残したので風に煽られることなくご利用いただけます。

・冬季の利用
フライのフラップ幅をしっかり残しジップが凍りづらくなっています。3本のポールを(ハブを使用せずに)縦に重ねる仕様にすることで、雪の重みにある程度強くなっています。またリッジポールの長さを短くすることで、雪が落ちやすい傾斜を作りました。

・パッキング
スタッフサックをパッキングと圧縮がしやすい形状(ボトムが楕円形)へ変更しました。バックパックのサイドポケットにも入るサイズ感で、いつものバックパックに余裕が生まれます。バイクでのテント泊にもおすすめです。

・軽量性
全パーツ・全機能を見直し軽量化を図っています。悪天候時に安心な3本ポール、機動力を高める長辺両サイドの出入口の構造はそのまま、最終重量は最小1136gです。

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